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ブック レビュー > 謝罪の文章術
R25 > ブック レビュー > 謝罪の文章術
■ 今週のテーマ
きちんと謝れる 大人になりたい!
ミスや失敗は誰しもある。
謝罪の仕方で運命が分かれるのだ
過ちて改めざる、すなわちこれ過ち
謝罪は会社の命運も分ける
人間とは、かくも愚かな生き物よ
小説で疑似体験
ミスした自分を受け入れられる人間に
■ ミスや失敗は誰しもある。
謝罪の仕方で運命が分かれるのだ
『謝罪の文章術』 宮川俊彦/角川書店/720円 Amazonで購入
人間の本性は、ミスや失敗を犯した時に顕著に現れやすい。
いくら仕事ができても、ソツなく立ち回っていても、
窮地に陥った途端、ボロが出る。
報告が遅い、責任転嫁する、しらばっくれる、嘘や言い訳を並べる、
逆ギレする、逃げる…なんて最悪のケース。
著者は長年、青少年の表現教育指導に携わり、
企業の昇進昇格論文等の作文を採点・分析してきた文章分析のスペシャリスト。
いわく現代は、「謝罪をしたら負け」と思っている「妙なひねくれ者」も多く、
「保身、体面保全、プライド保全」が先行して、
人間関係を大切にするための考えが乏しくなっていると嘆く。
しかし、成長に失敗はつきもの。
それをプラスに転じるためにも謝罪力は必要だ。
本書では26の架空のシチュエーションに対し、
ありがちな謝罪の例文を掲載。
著者がその内容を論評していて、これが簡にして要。
為になる。うっかりミスでお客を怒らせたホテルの予約係の謝罪文には、
「このくらいでいいだろうという思い上がりはいけない」。
遅刻や欠勤の常習犯の公務員の反省文には
「傲慢で自己保身に偏して」いて
「文自体が怠惰でダラダラした印象」
「立場をわきまえた視座を持て」。
ガイドブックの記事に誤植があった出版社には
「正誤表じゃつまらない」と、納得の妙案を提示する。
どんな謝罪でも忘れてならないのは、
「状況を深く洞察し、相手を読解し(中略)
戦略的な自己の表現を関係修復の武器として編み出す」ことである。
“失敗はチャンス”と思えるほどの気概が持てるようになったら、
向かうところ敵なしだ。
■ 過ちて改めざる、すなわちこれ過ち
『お詫びの達人』
堀井孝英、鹿島しのぶ・著/日東書院/1050円 Amazonで購入
実際、謝罪する必要に迫られたとき、イメージトレーニングしたいときに。
デパート、メーカー、小売店、レストラン、ホテルなど、
様々な職業で実際にあったケースをもとに紹介している
お詫びの豊富な事例が参考になる。
あとがきでは論語の一節、
「過ちて改めざる、すなわちこれを過ちという」を引用。
一度の過ちは、改めれば過ちではない。
詫びただけで過ちを改めようとしないことが
最大の過ちなのである。
■ 謝罪は会社の命運も分ける
『そんな謝罪では会社が危ない』 田中辰巳/文春文庫/550円 Amazonで購入
不祥事を起こした企業責任者や政治家たちの謝罪例をもとに、
「許されないお詫び」10パターンの問題点を徹底検証。
いざというとき慌てない「許される謝罪の『心・技・体』」
を持つ人間になるための手段も指南。
大手企業の危機管理に携わっているリスクマネジメントの
専門家ならではの経験と見識にもとづいたアドバイスは、
現実的で説得力あり。ビジネスマンならずとも読んでおいて損はない。
■ 人間とは、かくも愚かな生き物よ
『言い訳するな!』 新保信長/ミリオン出版/1260円 Amazonで購入
新聞4大紙から「そんな言い訳、していいわけ?」とツッコミたくなる事件、
事故の当事者たちの“土壇場の迷言”を収集。
腰痛を理由にズル休みしていた公務員の
「仕事は無理だが、スキーならできた」。
勤務中に飲酒していた教諭の
「自分にとってビールは酒ではないので飲んでもいいと思った」など、
最初から最後まで開いた口がふさがらない。
言い訳は百害あって一利なし…と自覚すべし。
■ 小説で疑似体験
『一分間謝罪法』
ケン・ブランチャードほか 著 松本剛史・訳/扶桑社/980円 Amazonで購入
経営上のミスを重ね危機に陥っても、自らの非を認めず抗弁した社長。
彼を救うために側近の若者が、伝説的経営者に会いにいく…。
効果的な謝罪のポイントを登場人物達が代弁、実践したビジネス小説。
「人にあやまるうえで最もむずかしいのは自分の過ちをさとり認めること」
「ほとんどの問題の核心にあるのはあなたが直面したがらない真実である」など、
ところどころにある格言も本質を突いている。
■ ミスした自分を受け入れられる人間に
『「他人の目」を気にせずに生きる技術』 諸冨祥彦/大和出版/1365円 Amazonで購入
人に認められたい、好かれたいと、
他人の評価ばかり気にしている者にとって、ミスや失敗は致命傷だろう。
しかし「恥は、買ってでもかけ」とよくいわれるように、
他人を気にせず、現実を受け止めて自分の視点で物事を考えてこそ
真の改善に向けた謝罪ができるというもの。
たとえどんな失態を招いても、その自分を自分自身が認められる人間になるための
本書のアドバイスに耳を傾けよう。
記事タイトル一覧
きちんと謝れる 大人になりたい!
これからの“食”は、どうなるんだろう?
あなたの趣味は 何ですか?
“常識”ってどこまで通用するんだろう?
物語でビジネスを 疑似体験してみない?
キミは、“ひとり立ちした大人”になっている?
たまには、“手書き”文字を書いてみない?
“良い政治”って何だろう?
“天職”って いったい何だろう?
自分の“キャラ”を きちんと把握している?
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